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採用コラム

「静かな退職」とは?
採用担当者が知っておきたい背景と向き合い方

「静かな退職」とは、会社を辞めるわけではなく、必要な業務をこなしながら仕事との距離を少し置くような働き方です。本記事では、その背景にある価値観の変化や企業に与える影響、向き合い方のポイントについてやさしく解説します。

目 次​

1.はじめに

2.静かな退職とは

3.なぜ今、静かな退職が注目されているのか?

4.静かな退職が企業に及ぼす3つの影響
5.静かな退職のサインはどこに表れるか?
6.企業が取るべき対応4選

7.まとめ

1.はじめに

最近、「静かな退職」という言葉を耳にする機会が増えてきました。ただ、これは本当に退職するという意味ではありません。会社に在籍しながら、与えられた役割は果たす一方で、それ以上の負担や期待には応えないように線を引く働き方を指して使われます。
採用担当者や管理職の立場からすると、「やる気がないのでは」「すぐ辞めてしまう前触れでは」と不安に感じることもあるかもしれません。ですが、静かな退職は、単純に本人の意欲の問題だけで片づけられるものではありません。働き方への価値観の変化、仕事と私生活のバランスを重視する考え方、評価や職場環境への不満など、さまざまな背景が重なって起こることがあります。
本記事では、「静かな退職」とはどのような状態なのかを整理しながら、企業側が押さえておきたい背景やリスク、向き合い方について考えます。

2.静かな退職とは

静かな退職とは、退職届を出すことではなく、必要最低限の業務にとどめながら働く状態を指します。担当している仕事はこなしていても、自ら役割を広げようとしない、組織への強い関与を避ける、新しい仕事や追加の責任を積極的には引き受けない、といった形で表れることがあります。
ここで重要なのは、「怠けている」と決めつけないことです。本人にとっては、無理をしすぎず働き続けるための自己防衛である場合もあります。頑張りすぎて心身の負担が大きくなった経験があったり、努力しても報われないと感じていたりすると、あえて仕事との距離を取りながら働こうとすることがあります。
表面上は大きな問題が見えにくいため、周囲が気づきにくい点も特徴です。

 

ちなみに、似たような言葉で「サイレント退職」というものがありますが、これは表面的にはなんの兆候もなく突然会社を辞めることを指すもので、意味合い的には異なります。

3.なぜ今、静かな退職が注目されているのか?

この言葉が広がった背景には、働く人の価値観の変化があります。以前に比べて、仕事だけを優先する働き方が当たり前ではなくなり、私生活や健康、家族との時間を大切にしたいと考える人が増えてきました。
また、頑張っても昇給や評価につながりにくい、将来が見通しにくい、求められる役割ばかり増えていく、といった不満を抱える人も少なくありません。そうした中で、「必要以上に背負い込まない」という考え方が共感を集めやすくなっています。
特に若い世代では、仕事に対して過度に自分をすり減らすことよりも、納得感を持って長く働けることを重視する傾向があります。静かな退職は、そうした時代の空気を反映した現象の一つといえるでしょう。

4.静かな退職が企業に及ぼす3つの影響

静かな退職は、本人が会社を辞めるわけではないため、すぐに人手不足として表面化しないことがあります。しかし、組織に与える影響は決して小さくありません。

 

①周囲の負担が増えやすくなる
ある人が最低限の仕事しかしなくなると、その分を周囲が補う場面が増えやすくなります。その結果、真面目に取り組んでいる社員ほど負担を感じやすくなり、職場内に不公平感が生まれることがあります。

 

②チーム全体の雰囲気に影響が出る
静かな退職の状態にある社員が増えると、意見交換や協力が減り、職場全体の活気が弱まったり、人間関係の不和が生じることで職場環境が悪くなったりする場合があります。その結果、本来はチームで進めるべきことも、関わりが浅くなる・関係が悪化することでスピードや質に影響が出ることがあります。

 

③本人の成長機会が少なくなる
新しい経験や役割を避ける状態が続くと、本人にとっても成長の機会が減っていきます。
スキルの幅が広がりにくくなり、将来的なキャリアの選択肢を狭めてしまう可能性があります。企業にとっても、人材育成の面で見過ごせない状態といえます。

5.静かな退職のサインはどこに表れるか?

静かな退職は、はっきりしたトラブルとして現れないことが多いため、兆候を早めに捉えることが大切です。
主な兆候のひとつとして、発言や関わりが少なくなることが挙げられます。以前は前向きに関わっていた社員が、必要なやり取りしかしなくなることがあります。
会議で発言しなくなる、提案が減る、周囲との雑談や相談が少なくなるといった変化は、一つのサインかもしれません。
次に、新しい役割を避けるようになるのも静かな退職の兆候と言えます。目の前の業務はこなしていても、新しい仕事や追加の役割に対して、極端に距離を取るケースがあります。それ以上の関与を避ける姿勢が続く場合は、仕事に対する気持ちが下がっている可能性があります。
しかし、これらは表面だけでは判断しにくいことが少なくありません。こうした変化を見つけたときに、すぐに「やる気がない」と判断してしまうのは危険です。背景には、疲労の蓄積、人間関係の悩み、評価への不信感、家庭との両立の難しさなど、さまざまな事情が隠れていることがあります。まずは本人の内情を知り見極めることが大切です。

6.企業が取るべき対応4選

静かな退職への対応で大切なのは、無理に熱意を引き出そうとすることではありません。
まず必要なのは、本人がなぜその状態になっているのかを丁寧に捉えることです。


①仕事量と役割のバランスを見直す
本人が抱えている業務量や責任の重さが、実態に合っているかを確認することが重要です。社員個人の頑張りに頼りすぎる運営になっていると、限界を感じた社員が仕事との距離を取るのは自然な流れです。特定の人に負荷が偏っていないかを見直すことが、予防にもつながります。

 

②評価や期待を分かりやすく伝える
努力しても評価されない、何を求められているのか分からない、という状態は、意欲を下げる要因になります。
評価の基準や役割への期待が曖昧なままだと、社員は「それ以上頑張る意味が見えない」と感じやすくなります。日頃から、


・何を期待しているのか
・どこを見て評価しているのか


を丁寧に伝えることが大切です。

 

③対話の機会をつくる
静かな退職の兆候が見られるときほど、一方的な指導ではなく対話が必要です。
「なぜ最近消極的なのか」と責めるのではなく、「困っていることはないか」「今の仕事量はどう感じているか」といった形で、話しやすい入り口をつくることが大切です。

 

④安心して働ける職場を整える
静かな退職を防ぐには、制度だけでなく、日々の職場の空気も重要です。


・困ったときに相談しやすい
・否定から入らない
・上司や先輩が気にかけている姿勢がある


そうした環境があることで、社員は仕事との距離を極端に取らずに済むことがあります。

7.まとめ

静かな退職は、単なる流行語ではなく、働く人の価値観や職場環境の変化を映す現象の一つです。会社を辞めていないから問題がない、業務を最低限こなしているから大丈夫、と見過ごしてしまうと、組織全体の活力低下や周囲への負担増につながるおそれがあります。
一方で、静かな退職は、本人の甘えや怠慢だけで起こるものではありません。仕事量、評価、コミュニケーション、働き方への考え方など、企業側が見直せる要素も多くあります。だからこそ、表面的な態度だけを見るのではなく、その背景に目を向けることが大切です。
採用活動においても、入社してもらうことだけでなく、無理なく前向きに働き続けてもらうことがますます重要になっています。静かな退職というテーマは、定着や職場づくりを見直すきっかけとして捉えてみるとよいかもしれません。

 

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