多くの企業が新人育成の手法として取り入れているOJTですが、育成の成果を挙げるには押さえるべきポイントがあるのです。今回は、OJTを実施する目的や成功させるためのポイントについて解説します。
目 次
1.はじめに
2.OJTとは
3.OJTの目的
4.OJTを成功させるポイント
5.まとめ
1.はじめに
いかなる企業でも、新入社員を迎え入れた際には戦力として成長してもらうべく新人育成を行います。その際の育成方法として、近年よく活用されている手法が「OJT」です。実際の業務に従事しながら学んでもらうというやり方ですが、効果的な育成方法として機能させるには、様々なポイントを押さえる必要があります。今回は、OJTを取り入れる目的や成功させるポイントについてお話します。
2.OJTとは
OJTは「On-the-Job Training」の略称で、上司や先輩社員が指導役となり、実際の現場での実務を通して業務の流れや知識・技術を伝える育成手法です。指導担当となった社員が日常業務の中でマンツーマンで指導するのが一般的で、基本的に以下4つのフェーズを繰り返して人材育成を進めます。
・やってみせる(Show)
まずは指導者が実際の業務をやってみせ、業務の具体的なイメージを持ってもらえるようにします。
・説明する(Tell)
やってみせた業務の内容ややり方はもちろん、目的や意味、背景を伝えて業務に対する理解度を深めます。
・やらせてみる(Do)
指導者がやってみせた業務を実践してもらいます。
・評価・追加指導をする(Check)
やってもらった業務の反省点や改善点を伝えたり、補足や追加の説明をしたりして指導します。
OJTとよく比較される育成手法に、OFF-JT(Off-the-Job Training)があります。こちらはOJTと異なり、職務の現場からは離れて座学などで研修などを受けるものです。外部講師によるビジネスマナー講座などはこれに当たります。
3.OJTの4つの目的
なぜ、新人教育としてOJTを実施するのでしょうか?それには、以下の4つの目的があります。
① 新入社員の能力向上
一番の目的は、新入社員の業務遂行能力を向上することです。OJTは実践的な育成方法のため、知識やスキル、ノウハウを学ぶことができ、着実な成長が期待できます。また、現場に出ることで先輩社員や顧客など多くの人との接点が生まれ、自らの役割や立ち位置を知ることにも繋がります。
② 定着率アップ
即戦力となるスキルを身につけていくことができるため、仕事に対しての自信を持てるようになり、モチベーションの向上にも繋がります。慣れない職場環境や業務、人間関係など、新入社員はたくさんの不安を抱えていますが、OJTを通して自信ややりがいを持て、また、人間関係を構築していくことでその不安要素は取り除かれ、会社への定着率を高めることができます。
③ 組織の業務効率・パフォーマンスの向上
効率的な人材育成を行うことで新入社員は短い育成期間で立派な戦力へと成長し、組織のマンパワーが底上げされ、業務効率やパフォーマンスの向上にが期待できます。また、OJTを継続的に実施すれば、人が人を育てるという風土が定着し組織の永続的な発展にも繋がるでしょう。
④ 指導者側の能力向上
指導役となる社員は、新入社員への指導やフィードバックなどを通して自らの業務を振り返る良いきっかけになります。既存社員の仕事や自分の役割に対する理解がより深まるだけでなく、人材育成力の向上も期待できますので、迅速に戦力としてスキルアップできるという強みが生まれ、企業の採用力強化にも繋がります。
4.OJTを成功させるポイント
OJTの育成効果をしっかりと出すために押さえるべき5つのポイントを紹介します。
① 目的・目標を明確にする
実践的な育成方法とはいえ、「とりあえずやりながら学ぶ」という場当たり的な指導を行っては思うような成果は出ません。まずは、
・どのような仕事ができるようになって欲しいのか
・その仕事にはどのようなスキル・知識・経験が必要か
など、OJTを実施する目的や目標を明確にしましょう。指導者を始め部署や会社全体でこれらの目的・目標を共有することで、指導者ごとの指導内容がぶれることなくOJTを進めることができます。
② 計画を立て段階的に進める
定めた目的・目標を達成するために、OJTで実施するトレーニング内容の計画をしっかりと立てる必要があります。どのタイミングでどの業務を経験させるのか、必要な知識をいつどの順番で伝えていくのか、どのような人材に育てたいか、などを熟考して育成計画を作ることが大切です。目標から逆算してタイミングや実施期間を決めるのがおすすめです。
③ 新入社員の傾向を理解する
育成対象者である新入社員の傾向を理解しておくことが重要です。新卒者であれば、いわゆるZ世代が学習・業務に従事する際の行動・メンタル面の特徴、中途社員であれば、これまでの社会経験や本人の性格などを知ることで、育成対象者に応じてトレーニングの進度や指導者のアプローチの仕方を変えることで、より効果的なOJTを実施することができます。
④ 指導者が育成に専念できる環境を整える
育成環境は、効果的な育成にとって重要な要素の一つです。OJTが始まると、指導者は自分の通常業務とOJTを並行して行うことになります。通常業務が詰まっていると、新入社員にかける時間が十分にとれず育成の進行の妨げとなります。OJTに集中できる環境を整えるためにも、業務配分を適切に行い育成の質が低下しないように注意しましょう。
⑤ 指導者側のフィードバック・フォローアップをする
現場や指導者個人に任せきりにせず、面談で進捗や課題を確認したり、育成成果を検証したり、適宜指導者側のフィードバックやフォローアップをして指導者をサポートしていきましょう。確認した育成状況によっては、計画の見直しや目的・目標の変更が必要な場合もあるかもしれません。しっかりの効果を出すためにも、OJTと業務の現状を把握することが大切です。
5.まとめ
OJTは、実際の業務を通して効率的に業務に関するスキルや知識を身につけることができる育成手法です。しかし、ただ現場でやみくもに経験を積ませる訳ではなく、育成成果をあげるためには今回紹介したようなポイントをしっかり押さえて実施することが大切です。新入社員はもちろん、指導者側となる既存社員の成長も期待でき、組織の活性化にも繋がるOJTを、自社の新人育成に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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