高卒就職者は、いつから就活に備え、どのようなことを意識しながら就職活動を行っているのでしょうか?普段はなかなか知る機会のない高卒就職者の実態を、現役の進路指導の先生に聞いてみました。
目 次
1.はじめに
2.トークセッションダイジェスト
3.まとめ
1.はじめに
先日、福島県北エリアを中心とした企業様にお集まりいただき、弊社としては初めてとなる採用情報勉強会を開催しました。
ゲストスピーカー:学校法人松韻学園福島高等学校 進路指導部長 菅野忠信先生
ファシリテーター:株式会社船井総合研究所 保泉泰宏様
をお迎えし、ゲストによるトークセッションと情報交換会の2部構成で行った当勉強会は、就活に臨む高校生の実態や高卒採用の現状などの情報を得るとても有意義な時間となりました。ご参加くださった企業様及びゲストの皆様におかれましては、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
今回は、第1部のトークセッションのダイジェストレポートをお送りいたします。
2.トークセッションダイジェスト
以下、ファシリテーター・保泉様とゲストスピーカー・菅野先生の、Q&A方式のトークセッションダイジェストをまとめました。
【Q】高校生の実態として、何年生の何月頃から就職を意識し始めていますか?
【A】高校に入ってすぐにかなと思います。3年間を通してキャリア教育を行っており、1年生の2月には職場見学、2年生の2月には希望者優先でインターンシップを実施しています。インターンシップは、一部の職種は2年生の夏休みに行うところもあります。それ以外にも、外部講師を招くなどして就職希望者が自主的に自らの就職先やキャリアについて考えられるようなカリキュラムを組んでいます。2年生の2月に行う3者面談では希望の職種まで決定するようにしています。
【Q】受ける企業を決めるのはいつ頃ですか?
【A】2年生のうちから過去の求人票のストックを参考にしたりして希望の企業を絞っています。その時点で候補を2、3社決める生徒もいます。
【Q】新型コロナウイルス感染症の感染拡大で、どのような影響を受けましたか?
【A】職場見学も面接も、リモートが多くなりました。県外の企業はすべてがリモートです。中には、一次筆記試験もオンラインで実施する所もありました。ネット環境に大きく依存しますので、学校側にも生徒にも大きな負担になっています。
【Q】生徒が企業を選ぶ際に重要視していることはどんなところですか?
【A】特によく見ているところは、
・基本給
・休日日数
・福利厚生施設
です。給与はよく見ている傾向にあって、賞与のあるなしもポイントです。休日日数は、週休二日の場合などいろいろな計算をして104日がボーダーかなという印象です。また、近年男女共の地元志向がとても強くなっていると感じています。ですので、自宅から通える範囲かどうかもポイントになっています。県外の企業であれば寮がないと厳しく、寮に居られる年数などの条件も細かくチェックしています。
【Q】では、求人票で気になった企業をさらに深掘りする際はどのように調べていますか?
【A】まずはweb求人票で一般求人を検索して出力し、希望の職種か、条件はどうかなどを進路指導の先生と一緒に確認しながら絞り込みます。生徒は先生の言葉を”絶対”だと思ってしまう傾向がありますので、答えを提示するよりもヒントを与えたり足りない知識を補ってあげたりしています。そこからさらに、ハローワークのジョブサポーターのところへ直接行かせることも多いです。情報収集はもちろんですが、コミュニケーションの練習にもなるのでよく勧めています。
【Q】親御さんが気にするところはどんなところですか?
【A】「我が子がしっかりやっていける企業なのかどうか」が一番です。後は、固定観念や世間体からくる親御さんのエゴが出るときもありますし、企業に関する噂や風評を気にする傾向もあります。親御さんが安心感を覚える企業はやはり親世代から信頼を集めている企業や母体の大きい企業ですが、中小企業にもたくさんの魅力があることを我々からも伝えるようにしています。
【Q】高卒採用に積極的で、離職率が低いという企業の特徴はありますか?
【A】足しげく学校に通ってくれ、こまめに情報交換をしてくださる企業様ですね。OB・OGを一緒に連れてきてくれる方もいます。社会人としてしっかりやっている姿を見せてもらえると安心しますし、次の代へ推薦しやすくもなります。
【Q】求人票が出る7月は企業としては訪問しやすいタイミングではありますが、学校側は訪問に適した時期はありますか?
【A】7月は、各企業様からの求人票がどんどん届いたり訪問もひっきりなしなので、できれば7月は避けていただきたいのが本音です。5月末~6月くらいがちょうどいいです。私は”学校 対 企業”ではなく”人 対 人”として接していますので、そこで生まれた良好な繋がりや義理は大切にしています。
【Q】企業が行っている印象的な採用活動はありますか?
【A】大手スーパーマーケットで、「場所を提供するから、自分たちで地場産物を売ってみないか」とい呼びかけをしてくださるところがあります。場所とチャンスだけを与え、何を売ろうか、どのように売ろうか、たくさん売るにはどうしたらいいか、はすべて生徒が考えるのです。こういった機会をくれた企業に対しての好感度や理解度もあがりますし、生徒たちにとってはよい社会経験の場にもなります。やはり、実際の職場体験ができるととてもいいですね。
トークセッションダイジェストは、以上です。
3.まとめ
高校生の実態を知ることができる貴重な機会に、参加企業の方々はメモを取りながら真剣な眼差しで先生の話に耳を傾けていました。学校と企業が、より強固でより良好な繋がりを作るきっかけになっていましたら、主催者冥利に尽きます。機会があればまた、このような情報交換会や勉強会を開催していきたいと思います。
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