人材不足の改善に、外国人労働者の採用を始める企業が増えてきています。実際採用すると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?採用する時にどのようなことに注意したらいいのでしょうか?本記事で詳しく解説します。
目 次
1.はじめに
2.外国人労働者の現状
3.外国人労働者を受け入れる4つのメリット
4.外国人労働者を受け入れる3のデメリット
5.外国人労働者を採用する際の4つの注意点
6.まとめ
1.はじめに
少子高齢化による人材不足に多くの企業が悩まされている昨今、その対策の一つとして外国人労働者の受け入れを始める所が増えてきています。実際に、外国人の雇用はどれくらい進んでいるのでしょうか?そして、受け入れのメリットやデメリットはあるのでしょうか?今回は、日本における外国人労働者雇用の現状や、採用した際のメリット・デメリット、採用する際の注意点について詳しくお話します。
2.外国人労働者の現状
厚生労働省より、外国人雇用についての届け出状況を取りまとめたもの(令和5年10月末時点)が公表されています。これによると、
・外国人労働者数…2,048,675人(前年比+225,950人)
・外国人を雇用する事業所数…318,775所(前年比+19,985所)
と労働者数・雇用事業所共に増加し、それぞれが平成19年に届け出が義務化されてからの過去最高値を更新しているとのことです。国籍別の外国人労働者数の割合は以下のグラフの通りです。
国籍別外国人労働者数(令和5年10月末時点)
(出典:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点))
3.外国人労働者を受け入れる4つのメリット
外国人労働者を採用した場合、次の4つのようなメリットがあります。
① 人手不足の解消
少子高齢化による生産人口の減少により、多くの企業が深刻な人材不足に悩まされています。採用の対象を日本人だけでなく外国人人材にも広げることで、求職者の母数が広がり求める人材に出会える可能性が高まります。また、日本で働くことを希望する外国人労働者には学習意欲や向上心が高い人材が多く、優秀なマンパワーの獲得も期待できます。
② 企業のグローバル化
英語やその他外国語ネイティブの人材を雇うことにより、現地法人とのやり取りをスムーズに行うことができ、契約の獲得や効果的なマーケティング・プロモーションで海外進出の足がかりとなるかもしれません。国内においても、近年増えている訪日外国人への対応力強化に繋がります。また、日本以外の言語や文化に触れることでその国独自の技術や知識を学ぶこともでき、海外向け商品の企画・開発などを多角的な視点で進めることも可能です。
③ 新たな発想やイノベーションを生み出す
他国の人材は、日本人とは違った気質や考え方を持っています。そのため、今までにない新たなアイディアやイノベーションを生み出したり、思いもよらなかった問題点を発見してくれたり、ビジネスの成功を後押ししてくれる存在になり得ます。
④ 助成金が利用できる場合がある
雇用保険に加入している事業所であれば、外国人労働者を雇用した際に厚生労働省から助成金を受け取れる場合があります。外国人の採用に特化した「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の他にも、様々な種類の雇用関係助成金があります。要件を満たしているか?いくら受け取れるか?などを調べて活用できれば、自社の採用・育成の大きな助けになります。
(参考:厚生労働省 事業主の方のための雇用関係助成金)
4.外国人労働者を受け入れる3のデメリット
では、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?考え得るデメリットを3つ紹介します。
① 文化・習慣の違い
日本人にとっては当たり前のことであっても、他国出身者にとっては疑問を感じたり不快感を持ったりすることも少なくありませんし、その逆もまた十分起こり得ます。最悪の場合、悪気なく日本の法に触れてしまう恐れもあります。事前にお互いの文化について理解を深めると共に、外国人が「なぜ?」と思うことは丁寧に指導する必要があります。
② コミュニケーションが難しい
外国人の採用においてネックになりがちなのは、やはり言語の問題です。採用した外国人の日本語レベルによっては、コミュニケーションが取れず業務に支障が出てしまいます。また、文化・習慣の違いからコミュニケーション方法にも日本とは大きな差があることもよくあります。日本語スキルの向上をサポートしたり、日本人の従業員対してよりもより具体的な指示をする必要があることなどを事前に現場に周知したりすることで、徐々にスムーズなコミュニケーションが図ることができるようになります。
③ 特有のルールや雇用手続きがある
・在留資格によって就労に制限がある場合がある
・「外国人雇用状況届出書」の提出が必要
など、外国人を採用する場合には特有のルールや雇用手続きが存在します。採用を検討する際には、それらをしっかり調べて正しく雇用を進めることが大切です。
(参考:厚生労働省 外国人の雇用 雇用する上でのルール)
5.外国人労働者を採用する際の4つの注意点
外国人労働者を採用する際は、日本人の採用とは異なる注意点が存在します。ここでは、知っておくべき4つのポイントを解説します。
① 在留資格を確認する
外国人が日本に長く滞在する場合は在留資格が必要です。在留資格には様々な種類があり、就労に関しては以下の3つに分かれています。
・就労に制限なし
・許可された範囲で就労可能
・就労不可
もし、就労可能な在留資格を持っていない外国人を雇った場合は不法就労となってしまい雇い主側も罪に問われることになります。外国人を雇用する際は、在留資格を必ずチェックして自社での就労が可能な人材であるかを確認しましょう。
(参考:出入国在留管理庁 在留資格一覧表)
② 国籍・人種で差別をしない
差別は人道的に許されることでないことはもちろん、日本は人種差別撤廃の国際条約にも加入しています。企業としても国籍・人種での差別を一切許さないことを全社的に周知し、従業員教育を行うことが大切です。採用の際は「○○人歓迎」など国籍や人種ありきの選考基準は差別になりますので、仕事内容に必要なスキルや経験に基づいた募集内容で求人を出しましょう。また、いかなる外国人であっても日本人従業員と同等以上の条件で雇用することが定められていますので、労働時間や給与などの労働条件を不当に設定することはできません。
(参考:外務省 人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約))
③ 在留資格に合った仕事を提供する
在留資格が医療なら医師、歯科医師、看護師など医療業務に携わる仕事、教育なら中学校・高等学校等の語学教師等、と、従事する仕事内容は持っている在留資格によって認められている範囲が決められています。範囲外の業務をお願いしてしまうと不法就労と判断される恐れがありますので、従事してほしい仕事内容が可能な在留資格かどうかを採用の際に確認しておきましょう。
④ 企業側の手厚いフォロー体制を整える
滞在歴にもよりますが、日本で働こうとしている外国人労働者は、仕事はもちろん生活面でも分からないことばかりの人が少なくありません。入社前の手続きや入社後の社内ルール周知・育成はもちろん、住居探しや口座開設、生活面に関するアドバイスやサポート、日本語学習のサポートなど、公私共に手厚いフォローを行うことが重要です。愛国人労働者を受け入れる前に、フォローが行える体制を整えておきましょう。
6.まとめ
外国人労働者を上手に活用すれば、人材不足解消や企業のさらなる躍進が期待できます。今回紹介した採用のメリット・デメリットや注意点を踏まえ、自社で受け入れることができるか?採用したらどのように活躍してほしいか?などを検討してみてはいかがでしょうか?
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