「タレントアクイジション」をご存じでしょうか?これは、まだ一般的ではないものの、近年日本でも徐々に広まってきている人材不足解消に役立つ新しい採用手法です。本記事ではこのタレントアクイジションについて詳しく解説します。
目 次
1.はじめに
2.タレントアクイジションとは
3.タレントアクイジションの3つの役割
4.タレントアクイジションを行うメリット3選
5.タレントアクイジションを行うデメリット2選
6.まとめ
1.はじめに
労働人口の減少により、多くの企業が人材不足に悩まされています。採用で人材不足を解消しようとしても、獲得の競争が激しく必要な人数を確保できなかったり、せっかく採用できても理想との乖離が起きたり、思うような採用活動を行うことが非常に困難になってきています。そこで近年注目を集めている新たな採用手法がタレントアクイジションです。まだあまり一般的でないため、「初めて聞いた名前だ」「聞いたことはあるが良く分からない」という人は少なくないでしょう。今回は、タレントアクイジションとはどのような採用手法なのか、どのような役割を持っているのか、などを詳しくお話します。
2.タレントアクイジションとは
深刻な人材不足が叫ばれる昨今、人材の数に頼った事業運営には限界があります。仕事内容が同じならより優秀な人材に任せた方が生産性が高く企業力の底上げに繋がるように、人材一人辺りの付加価値を重視した採用が求められてきているのです。
そこで生まれたのがタレントアクイジションです。これは、
・タレント(Talent)=才能、優秀な人材
・アクイジション(Acquisition)=獲得、取得
の二つを組み合わせた造語で、自社の事業や経営戦略を実現するために必要な優秀な人材を獲得するために役立つ概念のことを表します。従来の採用(リクルーティング)は人材からの応募を待つ受け身の姿勢であることがほとんどですが、タレントアクイジションは欲しい人材へ向けて企業側から積極的に動いていく、いわゆる「攻めの採用」です。欠員補充などの短期的な採用ではなく、企業の成長など未来を見据え、中長期的に転職潜在層を含む優秀な人材に対してアプローチして人材獲得を目指すことが、タレントアクイジションを導入する一番の目的です。
タレントアクイジションで用いる主な採用手法としては、
・タレントプールリクルーティング
→優秀な人材を集めたデータベースを蓄積して活用する
・ソーシャルリクルーティング
→FacebookやX(旧Twitter)などのSNSを利用する
・ダイレクトソーシング
→経営者やマネージャーが候補者に直接アプローチする
・リファラル採用
→社員から人材を紹介してもらう手法
・ブランドマーケティング
→採用ブランディングで自社への志望度を上げる
などが挙げられ、採用戦略や欲しい人材への訴求力などを鑑み、自社に合った手法を組み合わせて実施していきます。
今回も、例年を踏襲したスケジュールとなっています。特に求人の申込や求人票提出などの各種解禁日はしっかりチェックして、スタートダッシュを切ることができるよう備えておきましょう。
3.タレントアクイジションの役割
① 人材ポートフォリオの形成
人材ポートフォリオとは、適切な人材配置・人材開発のために必要な人材構成を分析したものです。タレントアクイジションでは、
・これから取り組む事業戦略について
・事業戦略実現のために必要な人材とは
を基に人材ポートフォリオを形成し、それらを整理・分析することで、これからの自社に欲しい人材や獲得したいタイミングなどを明確化することができます。欲しい人材が明確化すれば、獲得するために今自社に不足している物事や確実に獲得するためのアプローチ方法の画策に役立ちます。
② タレントデータベースの構築
人材ポートフォリオが形成出来たら、次はそれを実現するために必要な人材のデータベースを作ります。転職顕在層はもちろん、今は他社に勤めていて転職の意思がない潜在層の中で魅力的な人材もデータベースに蓄積していきましょう。すぐに採用・獲得に動くことはできない場合はデータベース内の人材にじっくりとアプローチをかけたり、よきタイミングで獲得に動いたり、適材適所の採用活動ができるようになります。データベースの内容は、適宜アップデートして最適な状態を維持することが大切です。
③ 採用ブランディング
より多くの人材に自社の存在・魅力をアピールするために欠かせないのが、継続的な採用ブランディングです。自社の現状や将来の目標をターゲットとなる人材へ伝え共感・信頼を得ることは、志望度アップに繋がり入社への大きな決め手となり得ます。SNSやオウンドメディアを活用して
・経営目標
・ビジョン
・方向性
などを明確化し、他社との差別化を図り求職者に選ばれる企業となるためのアプローチが重要です。
(関連コラム:採用ブランディングって何?どんなメリットやデメリットがあるの?)
(関連コラム:オウンドメディアリクルーティングとは?注目の理由やメリットを紹介)
4.メリット
① 潜在層を獲得できる
タレントアクイジションは、自社の将来を見据えた中長期的な採用が目的ですので、今はまだ転職意思がない潜在層に対して積極的にアプローチしていきます。これまでの採用よりもターゲットの幅を広げられることはもちろん、潜在層の内にじっくりとアプローチをかけることで、彼らが顕在層へと移行したタイミングで自社への入社意向の醸成がすでに進んでいるため、他社から一歩リードした状態で獲得に向けて動き出すことができるのです。
② 採用のミスマッチを軽減できる
短期的なリクルーティングではお互いに得られる情報が限られ、企業側にも人材側にも「こんなはずではなかった」という採用のミスマッチが生じることは否めません。一方タレントアクイジションでは、自社の魅力やビジョン、働き方などを中長期的に発信してターゲットにアプローチをしているため、企業と人材の双方がお互いの理解をより深めた状態での採用となります。そのため、理想と現実のギャップが起きにくくミスマッチの軽減が期待でき、人材の定着やエンゲージメントの向上にも役立ちます。
③ 組織力を高める
優秀な人材を獲得し自社に定着すれば会社全体の組織力の底上げに繋がりますが、組織力アップが期待できる要素はそれだけではありません。必要な人材の分析やデータベース構築、オウンドメディアなど様々な採用チャネルを駆使した採用活動を通して自社の採用力が鍛えられますし、優秀な人材に振り向いてもらうべく、環境整備や働き方・福利厚生の見直しなどに社内全体で取り組むことによって、既存従業員のエンゲージメントの向上にも繋がり企業そのものの魅力も一層高まります。組織全体の魅力アップが優秀な人材獲得に繋がり、また強固な組織力を形成するという好循環が生まれるのです。
5.デメリット
① 短期的な採用には不向き
中長期的なアプローチによる人材獲得がタレントアクイジションの手法のため、欠員の補充や突発的な増員などの短期的な採用には不向きです。また、タレントアクイジションを導入してすぐは目に見える成果を得ることが難しいため、短期的な採用を望む場合は従来のリクルーティングも同時並行で進める必要があります。
② 採用手法としての難易度が高い
タレントアクイジションは、2000年代からアメリカのIT企業を中心に出始めた概念です。昨今日本でも徐々に広まってきてはいるものの、歴史は浅く事例も少ないため、採用手法としてはまだまだ難易度が高いことが大きなデメリットです。潜在層の発掘やデータベースの構築など、従来のリクルーティングにはない業務も発生するためより多くの手間や時間がかかるのも、導入のハードルが上がる要素の一つです。
6.まとめ
独自のルールやスケジュールが存在する高卒採用だからこそ、入念な準備と情報収集が重要です。様々な業種、そして大手も中小企業も多くの企業が参入して注目を集めている高卒採用ですので、本記事でご紹介したスケジュールや活動のポイントを参考に、求める人材との良き出会い、そして若い力獲得にぜひお役立てください。
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