「ペルソナ」という言葉をご存じですか?元々マーケティング用語ですが、最近は採用シーンにおいてもよく目にするようになりました。今回は、採用におけるペルソナについてと、効果的に設定するための6つのステップを解説します。
目 次
1.はじめに
2.採用におけるペルソナとは?
3.ペルソナとターゲットの違い
4.ペルソナ設計の6つのステップとポイント
5.まとめ
1.はじめに
2.採用におけるペルソナとは?
「ペルソナ」とは、商品やサービスを消費する架空の顧客を表すマーケティング用語で、年齢や性別、価値観、ライフスタイルなどを細かく設定し、商品・サービスの開発やプロモーションに利用します。採用においては、自社が採用するべき人物像をペルソナ設定して担当者間で共有することによって、採用の目的や候補者に求める条件への理解を深めたり、採用計画の立案や選考の際の意思疎通したりすることに役立てます。また、自社が求める人物像を明確にすることで、採用後のミスマッチを防いで採用の質をアップすることにも繋がります。売り手市場が続いている昨今では、いかに優秀な人材を獲得し定着率を上げるかが重要視されています。そのため、ペルソナ設定を採用活動に取り入れる企業が増えてきているのです。
3.ペルソナとターゲットの違い
「ペルソナ」と似たマーケティング用語に、「ターゲット」があります。どちらも商品・サービスの顧客に対して使う言葉ですが、2つの違いは何でしょうか?以下、3つのポイントにフォーカスして表にまとめました。
ターゲットは年齢や性別などの一般的な属性を絞り込んで決定しますが、人物像としてはおおまかでぼんやりとしています。一方ペルソナは、そのターゲットに当てはまる人物をさらに細かく深く設定し、より具体的な一人の人物像を作り込んでいきます。そして、ペルソナで設定した人物はライフスタイルや価値観、行動パターンなども設定するためパーソナリティがあり、一般的な「層」を指しているターゲットにはパーソナリティはありません。このように、ペルソナとターゲットは特徴が大きく異なります。ターゲットだけを設定した場合、実際の仕事についた際に「なんとなく現場の雰囲気と合わない」「スキルはあるはずなのにいまいち生かせない」などの違和感が発生する可能性があるので、より具体的な求める人物像を明確にできるペルソナ設定が重要なのです。
4.ペルソナ設定の6つの流れとポイント
作り方や設定の流れ、気を付けるべきポイントを解説します。
① 採用の目的を確認する
会社の経営陣や現場へヒアリングなどの調査を実施し、
・なぜ採用が必要なのか?
・採用が必要な部署はどこか?
・何人必要なのか?
など、採用の目的を確認しましょう。特に重要なのは「なぜ採用が必要なのか」です。そこを意識することで欲しい人材がよりイメージしやすくなり、精度の高いペルソナ設定に繋がります。
② 求める人物像の要件を洗い出す
目的を確認したら、達成のために必要な人物像の要件を可能な限り列挙します。学歴や職歴、経験の有無、望んでいるキャリア、趣味・志向など、採用する人物に望む要件ならどのような項目でも構いません。例として、飲食店の調理部門に人員が必要な場合は、
「29歳、調理師免許あり、コミュニケーションスキルが高い、食べる事が好き…」
などです。また、「食べることが好き→趣味は食べ歩きで、気に入った料理は家でも作る」のように、一度挙げた要件をさらに細かく広げていくことも大切です。詳細であればあるほど良いのがペルソナですので、あたかもそのような人物が存在するかのような、リアルな人物を想定できる要件を挙げていくのがポイントです。また、漠然としたものや理想像ではなく、意味や理由を踏まえて考えるようにしましょう。
③ 要件に優先順位をつける
要件を全て列挙したら、それらに優先順位をつけます。絶対に譲れない(MUST)のか、あると望ましい(WANT)のか、なくてもよい(NORMAL)のかを明確にしましょう。下記のように表に書き出すと整理しやすいです。
④ ペルソナを設定する
ここまでの作業を基に、実際にペルソナ設定を行います。実在の人物のプロフィールや経歴書を作成するようなイメージで設定を行うとやりやすいかもしれません。
⑤ 設定したペルソナを見直す
出来上がったペルソナ設定を経営陣・現場など、人事担当以外にも確認してもらい、求める人材像にズレは生じていないか、盛り込むべきまたは削除すべき要素はないかを検討します。また、一度設定したペルソナでも、募集するタイミングによっては要素がガラッと変わる場合もあります。考えを凝り固めずに柔軟な見直し・修正を行いブラッシュアップしていきましょう。
⑥ 設定したペルソナを基に募集・選考を実施する
ペルソナ設定から募集方法・選考基準を詰めていきます。求める人材像が明確になっていることで候補者の行動や思考を分析しやすくなり、訴求力の高い募集方法を選ぶための指針になると共に、面接時の質問項目を考える基準としても使えます。採否決定では、求める人物像により近いか、必要な能力を持ち合わせている人材かなどを見極める際にペルソナを活用することで、採用担当者間の認識のズレを抑え入社後のミスマッチを減らすことができます。ここでの注意点は、設定した内容は「絶対的な採用基準ではない」ということです。細部まで作り込んだペルソナにぴったり当てはまる人材に出会えることはなかなかありません。あくまで「採用したい人材像の認識を社内やチーム間で統一するための材料」であることを忘れずに選考を行いましょう。
5.まとめ
ペルソナ設定は、欲しい人材について企業内で共通認識を持って募集・選考をスムーズに行うことができ、採用後のミスマッチの軽減にも繋がるため、安定した採用活動の実施や成果の獲得に役立ちます。本記事を参考に、次期採用に向けてペルソナの設定を検討してみてはいかがでしょうか?
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